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山羊のブログ

【シャイニングニキ】心の迷宮第3章『生死の恨み・夢幻』(秦衣) ストーリーネタバレまとめ

※ストーリーのネタバレを含みます。
本章をプレイ済みでない方は閲覧を避けてください。

1 金魚屋台(ストーリーのみ)

市場で身なりのよい少年(秦衣)がやせ細った元気のない二匹の金魚を買う。

貧民街の横丁に似つかわしくない、凛とした佇まいの秦衣は目立っている。そこに三十代の婦人が秦衣を『坊や』と呼び、駆け寄ってくる。貧乏長屋のメイおばさんだ。昔は美人で有名だったが、今やぼろぼろの服を着ており、老婆のように老け込んでいる。彼女は昔から金魚が好きだったと懐かしみ、あんたの母さんだと声をかけるが、秦衣は青ざめて立ち去る。

2 哀悼の言葉

ニキとモモは秦衣に買われた二匹の金魚となって成り行きを見守っている。

メイおばさんは秦衣のポスターを見つけ、劇団に手紙を送っていたようだ。そのことを知る劇団の少年に、母親と会えたのか聞かれるが、秦衣は知らない人でしたと否定する。この時点で秦衣はファンがついていることが伺える。

秦衣は金魚に、君たちの両親はどこにいるのかと問いかける。『君に見ゆるは 真昼の如き楼閣の灯』(※幕引きの言葉 に出てくる詩)歌う秦衣の眼は輝いていた。

(対戦相手:秦衣 バトル後ストーリー無し)

3 無言の約束

翌日。秦衣が端役で出演する舞台の千穐楽の夜。主演は時墨。

この舞台で秦衣は人気が出始め、師匠は阿青と呼ばれていた彼に『秦衣』の名前を与えた。秦家*1からあやかったものだ。開演前、秦衣は自身のファンを一人ずつ確認する。スタッフに呼ばれ楽屋に戻ると、時墨にいびられながら支度の手伝いをする。見咎める女優やスタッフもいるが、秦衣は引きつりながらも笑顔を浮かべ、反抗しない。

秦衣は役作りのため、劇場に二匹の金魚を連れてきていた。秦衣は金魚に微笑む。『春日遅く 月の音無し 年々此の花 誰が為に咲く』

(対戦相手:秦衣 バトル後ストーリー無し)

4 嗚咽の声

千穐楽が終幕。劇団は一ヶ月後、秦家の庭園で芝居を上演する。秦家の大奥様に認められれば出世できると、劇団員の志気は高まる。

打ち上げの席。酔った時墨が秦衣をそしるが、秦衣は笑顔でお酌をしている。時墨に芸をやれと強要され、震えた声で歌う。『鏡に映せし舞い姿 衣は色褪せ、名も知れず』

(対戦相手:秦衣 バトル後ストーリー無し)

5 反撃 (ストーリーのみ)

師匠は時墨を諌め、秦衣は介抱する。育ちの良い時墨に、秦家の子供について尋ねる。時墨はメイおばさんの事を知っている様子で、秦衣の出自を罵る。

青ざめ否定する秦衣を偽善者ヅラだと時墨が罵っていると、秦衣は態度を一変させる。酔った時墨はそれに気付かない。永遠に俺の下僕を演じろとそしり続ける時墨に、秦衣はお茶をかける。

手をあげようとした時墨の顔を、秦衣が殴った。初めての反撃であった。積年の怒りをこめ、引き離されるまで、秦衣は時墨を殴り続けた。冷ややかな表情で。

6 抱擁(ストーリーのみ)

あれだけ強いのに今まで虐められ続けても我慢していたなんて、自分たちが秦衣に騙されるわけだと驚くニキとモモ。

雨の中。秦衣は金魚鉢を抱えて劇団寮へと帰る道すがら、途中の横丁でゴロツキに囲まれ、暴力を受ける。時墨の手配であろう。そこに婦人(メイおばさん)が飛び込み、秦衣をかばう。母親の抱擁に包まれた秦衣は衝撃を受ける。

近所の人々が集まってきて、ゴロツキは逃げていった。金魚鉢から投げ出された金魚を婦人はお椀に入れてやる。秦衣が小さな声で「お母さん」と言うと、婦人は驚いて秦衣を抱き、彼を捨てたことを詫びてむせび泣いた。

しかし秦衣は、冷たい笑顔を浮かべていた。

7 復讐への誓い

時墨の怒りをかった秦衣は、次の公演の役を外されていた。一人部屋にこもり、婦人と会うこともなかった。劇団の近くに婦人が寄り付くと劇団員にからかわれた。

一人、自らデザインした衣装をまとい鏡に向かう秦衣。『鏡欠け 姿変え 十年来の夢破れ 昔日の 恨み残さじ 天下万物、我のもの』――『心なき夢』の姫が宮廷に足を踏み入れ、己を取り戻す物語を歌う。

(対戦相手:秦衣 バトル後ストーリー有り)

憎しみの色が映る眼を鏡越しに見て、秦衣は『心なき夢』を歌うのを止め、呆然と立ち尽くす。時墨に卑しい出自を罵られた言葉が蘇る。

卑しい身分の子である自分は、主役にはなれない……呆然と立ち尽くす。演劇を心の支えにしてきたはずが、彼にはそれすら許されなくなっていた。彼は絶望した眼で膝をつく。

8 虚妄の呪い

翌日、金魚を連れて秦衣は稽古場に行った。劇団員たちに無視されたなが、隅でひとり稽古をしていた。昼休みになっても稽古を続け、時墨の視線を受けながら、秦衣は鏡の前で昨晩のように『心なき夢』を歌い、途中で歌を止め、膝をつく。昨晩と全く同じ言葉と仕草の秦衣に、ニキとモモは驚く。昨晩一人で鏡に向かっていた姿は、この練習だったのか。

機嫌を良くした時墨に、秦衣はしおらしく縋りつき謝罪する。時墨は秦家の公演で秦衣の惨めな姿を見せるために、『心なき夢』を歌わせることを決める。

時墨の背中を見送りながら、秦衣は拳を握りしめ、冷たい笑みを浮かべていた。眼には激しく複雑な感情が入り乱れる。

『されど人失せ 無人の宮廷 時計の音ぞ冷たけれ』

扇子で顔を半ば覆い、怪しげな笑みで二匹の金魚を見つめた。

(対戦相手:秦衣 バトル後ストーリー無し)

※山羊:この話、秦衣の奥底にある激情を描いていて個人的に凄く好きなエピソードです。

9 孤独の哀悼

秦家での公演当日。紅葉の季節だ。屋敷の外には婦人(メイおばさん)が駆けつけていた。

秦衣は鏡前で針を取り出し、今までなら化粧で隠していたアザを、自ら紅を刺して蝶々の形に刺青した。蝶のアザが完成した時の彼は、ニキを裏切った時の秦衣と同じ、冷たい目付きであった。

夜が更け、秦衣の出番である。これまで一緒にいた金魚をセットに使い、その照明効果は秦家の大奥様の歓心を買った。

『墓碑かくむ叢くさむらに 川向かうの想い馳せ ただ我だけが 空虚に残さる いづれの日にか 忘れえぬ今宵の恨み 彷徨う魂魄こんぱく 落日の宮廷よ 鏡欠け 姿変え 十年来の夢破れ 昔日せきじつの 恨み残さじ 天下万物 我のもの されど人失せ 無人の宮廷 時計の音ぞ冷たけれ』

秦衣は見事に姫を演じた。金魚鉢を舞台上に叩きつけると、絨毯の上で金魚は苦しみもがく。その金魚の姿さえ、この悲劇を演出する。

(対戦相手:秦衣 バトル後ストーリー無し)

10 秦家(ストーリーのみ)

モモとニキはコーデ力で金魚から、元の姿に戻った。金魚はすでに息絶えている。

秦家の大奥様が、舞台上にいる秦衣を「坊や」と呼んだ。十五年前にいなくなった子供と同じ形のアザがあると。大旦那は訝しげであったが、大奥様が秦衣の見事な歌と演技を秦家の人間だからと褒めると、彼女に調子を合わせた。秦衣は再会を願っていたと跪く。

秦衣のお母さんはメイおばさんじゃなかったのか、と戸惑うニキとモモに、それは大事なことか、と不意に秦衣が声をかける。その瞬間、ニキとモモを残し、全ての観客が消えた。

いつもの曖昧な笑みすらない無表情の秦衣。これまで金魚の目線から見てきた彼すら芝居なのだろうか。庭の出口に向かっていく秦衣にニキがついていこうとすると、激しい痛みを感じ驚く。様々な感情が湧き上がってくる。ニキたちは心の迷宮から、さらに深い秦衣の潜在意識の世界まで踏み入れようとしていた。

本当の秦衣を見つけることができたら、出口を見つけられる。

夢幻ステージ・心地よさ

秦家の庭。大奥様に手を握られ、声を震わせ嬉し涙を流す姿。この時ほど嬉しいことはなかったと、ニキの傍に現れる。秦衣の笑顔は鏡に向かって練習していた表情だった。

(バトル後短いストーリー有り)

出口を見つけられたかと思うと、次の瞬間また暗闇に戻ってしまう。

夢幻ステージ・雪辱

再び秦家の庭。親子の再開劇に誰もが感動している。ステージの下で時墨は青ざめ、その場を離れた。

しばらくすると路地から悲鳴が聞こえてきた。秦衣は平然としている。あの悲鳴は時墨なのではないか、と考えるニキとモモ。時墨への復讐として、ゴロツキをけしかけたのか。秦衣を追って庭を出ようとすると、憎しみの感情に包まれる。

(バトル後短いストーリー有り)

コーデ力を使い憎しみの力を遮ると、また再び暗闇の中に戻っていた。

夢幻ステージ・癒えぬ傷

再び秦家の庭。秦衣は喜んでいるようにも、悲しんでいるようにも見える。

婦人(メイおばさん)は秦衣は私の坊やだと言うが、誰も耳を貸さない。秦衣は、孤独で気の毒な婦人が勘違いをしていると大奥様に説明する。泣き叫ぶ婦人を使用人が連れ去るが、秦衣は振り返ることもしなかった。

しかし、ニキは潜在意識から、彼の悲しみを感じ取っていた。ニキが秦衣に呼びかけると、振り向いた彼の瞳には悲しみとも喜びともつかぬ涙が浮かんでいる。

(バトル後短いストーリー有り)

ニキのコーデ力が暗闇を切り裂くが、その向こうにも闇が広がっていた。

夢幻ステージ・深き欲望

再び秦家の屋敷。親子の再会のニュースに駆けつけた記者たちのフラッシュを浴び、その場の主役となった秦衣。ニキとモモは秦衣の真意について考える。すると突然緞帳が降り、再会劇の幕が閉じる。秦衣だけが目の前に現れる。秦家に必要なのは歌と芝居のできる人形、そして秦衣に必要なのは主役になるための肩書だと。拠り所のない自分は傀儡にうってつけであると。

秦衣の目の奥には、炎のように荒々しい感情が浮かんでいた。欲望の炎。

(バトル後短いストーリー有り)

ニキがコーデ力で炎を遮ると、また暗闇の中に戻ってきた。

夢幻ステージ・孤独

秦衣以外、誰もいなくなった秦家の庭。赤い衣装に身を包んだ秦衣のレッドカーペットを作るように紅葉が集まっている。秦衣はニキに微笑みかける。ニキがよく見知った彼独特の微笑みだ。その笑みはどこか寂しさを帯びている。『心なき夢』の口上を口にする秦衣。本当の私を見つけることができましたね、と秦衣は言うが、本当だろうか。

秦衣の心の孤独を感じ取るニキ。秦衣は表情こそ変えなかったが、目元の蝶のアザがかすかに赤らむ。秦衣は扇子で顔の半分を覆い、その向こうの表情はやはり読めない。

(バトル後短いストーリー有り)

出口が見えた。秦衣は消え、紅い落ち葉だけが残っていた。月が急速に満ち、満月になる。しかしその光は弱々しく消えてしまう。

11 幕引きの言葉

同じ瞬間に秦衣の深層心理で交錯していた複雑な感情に思いを寄せるニキ。悲しみ、辛さ、楽しさ、憎しみ、孤独。どの感情の舞台にも彼は居たのかもしれないし、どこにもいないのかもしれない。振り返ると、衣装姿の秦衣が立っていた。そこに表情はない。彼にあったのは「迷い」だった。

ようやく、本当の彼を見つけられた。

誰かに見つけてほしかったのかとニキは尋ねる。秦衣は、自分自身すら見つけられなかったと語り、舞台の終幕を告げる。2:哀悼の言葉で歌っていた詩と共に舞台の幕は閉じる。

(対戦相手:秦衣 バトル後ストーリー無し)

*1:琴江地方の名家。先代はかつて大物役者であった。現在実権を握る大奥様は芝居に精通しており、映像会社を経営している。